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2025年ドイツでの労働法:日本企業のための雇用契約とビザの基礎知識 | 日系企業を対象にドイツ進出に関わる法人・支店・駐在員事務所設立およびドイツ国内での会計・税務サポート

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2025年ドイツでの労働法:日本企業のための雇用契約とビザの基礎知識

2025.04.17 | Category: ドイツ法人設立,ドイツ進出のメリット

Foto von Global Residence Index auf Unsplash

ドイツ市場への進出を計画する日本企業にとって、現地スタッフの雇用や駐在員のビザ手続きは、事業の成功に直結する重要なステップです。ドイツの労働法やビザ規制は日本と異なるため、事前に基本を理解しておくことが不可欠です。この記事では、ドイツでの雇用契約とビザに関する基礎知識を解説し、日本企業がスムーズに人材を確保するためのポイントを紹介します。

ドイツの雇用契約:基本ルール

ドイツの労働法は、労働者保護を重視しており、雇用契約には以下のポイントが含まれます:

  • 書面契約の推奨:口頭契約も有効ですが、書面での契約が一般的です。契約には、職務内容、給与、労働時間、休暇日数、解雇予告期間などを明記する必要があります。
  • 解雇保護:ドイツでは解雇が厳しく規制されており、特に従業員10人以上の企業では、解雇保護法(Kündigungsschutzgesetz)が適用されます。解雇には正当な理由と適切な通知期間が必要です。
  • 労働時間と休暇:週の労働時間は通常40時間以内で、年間最低24日の有給休暇が保証されています。残業には追加手当が必要です。

例えば、ドイツで営業チームを立ち上げる日本企業は、現地スタッフとの雇用契約でこれらのルールを遵守する必要があります。

ビザと労働許可:駐在員の手続き

ドイツで働く日本人駐在員には、適切なビザと労働許可が必要です。主なポイントは以下の通り:

  • 短期滞在(90日以内):シェンゲン協定により、日本人はビザなしで90日間滞在可能です。この期間は顧客訪問や市場調査に利用できますが、正式な就労には労働許可が必要です。
  • 労働許可付きビザ:ドイツ法人(例:GmbH)の役員や従業員として働く場合、労働許可付きのビザ(Aufenthaltstitel zur Ausübung einer Beschäftigung)を申請します。申請は入国後、外国人局(Ausländerbehörde)で行いますが、時期によっては数週間かかることもあります。
  • 優遇措置:日本人はドイツで信頼される外国人として歓迎されており、ビザ手続きは比較的スムーズです。ただし、会社設立書類や雇用契約書などの準備は必須です。

例えば、ドイツ支社の社長として赴任する駐在員は、労働許可付きビザを取得することで、安心して業務を開始できます。

よくある課題と対策

日本企業がドイツで直面する労働法関連の課題には、以下のようなものがあります:

  1. 文化の違い:ドイツの従業員はワークライフバランスを重視し、残業を避ける傾向があります。過度な労働時間を求める日本式のアプローチは摩擦を生む可能性があります。
  2. ビザ申請の遅延:繁忙期にはビザ処理が遅れることがあるため、早めの申請が重要です。
  3. コンプライアンス:労働法違反は罰金や訴訟リスクを招くため、雇用契約や就業規則を現地のルールに適合させる必要があります。

弊社の経験では、例えばテックや自動車業界の日本企業が、労働法対応を初期段階で整えることで、現地スタッフとの信頼関係を築いてきました。

実践的アドバイス

ドイツでの雇用とビザ手続きをスムーズに進めるためのステップを紹介します:

  1. 雇用契約のテンプレート作成:現地の労働法に準拠した契約書を準備。
  2. ビザ申請の準備:会社設立書類、雇用契約、職務記述書を事前に揃える。
  3. 現地専門家の活用:労働法やビザ手続きに詳しい顧問弁護士に相談し、リスクを回避。
  4. 文化理解:ドイツの労働文化を尊重し、柔軟なマネジメントスタイルを採用。

これらの準備を整えることで、人材確保が効率的に進み、事業の基盤が強化されます。

お客様のドイツ進出をサポート

ドイツでの雇用契約やビザ手続きは、適切な準備で複雑さを軽減できます。弊社はベルリンと東京を拠点に、会社設立、労働法対応、契約交渉など、日本企業がドイツ市場で成功するための包括的な法律支援を提供しています。テック、医薬品、ファッション、自動車など多様な業界での経験を活かし、貴社のニーズに合わせた戦略を一緒に構築しましょう。

お問い合わせ: info@r-tconsulting.com | 代表弁護士 クドゥス・ロマン (Roman Koudous)

法人の住所はレンタルオフィスでも問題ないのか?

2024.01.15 | Category: ドイツ法人設立



レンタルオフィスで登記は可能?

日系企業のドイツ進出のサポートをさせて頂く中で「レンタルオフィスの住所で法人設立は可能か?」といった質問を頂くことがあります。結論から申し上げますとレンタルオフィスの住所でも登記は可能です。然しながら、郵送物の受取ができる住所でないとNGです。

公証人役場での設立社員総会後にすべての書類を登記裁判所に送ります。登記裁判所から請求書等が送付されますが、資料の受取ができないと支払いプロセスも実行できない為、法人設立を完了させることができません。
よって必ず郵送物の受取ができる住所を指定して頂く必要がございます。

法人設立の都市はベルリン、ミュンヘン、デュセルドルフのどこが良いのか?



法人の設立都市についてもよく質問を頂きます。一番はビジネスモデルにマッチしている都市を選ぶことが重要です。日本人や日系企業が多いデュセルドルフを選ぶ方もいますが、最近の傾向としてはベルリンを選択される方が多い傾向です。ドイツ最大のスタートアップ・ハブのベルリンは欧州屈指のコスモポタン都市として、多様な人材・文化が集結・融合し、そこで生じるエネルギーが新たなビジネスを次々に誕生しています。

ドイツのスタートアップの資金調達額全体の約5割がベルリンで調達されている為、多くの起業家との繋がりができやすい点は大きな利点になると思います。

総評




法人の設立住所に関してはできれば事業が拡大しやすい環境下を意識して決定して頂けると幸いです。起業当初は資金が不足である為、レンタルオフィス等を契約頂く形でも全く問題ありません。また設立都市についてもビジネスモデルがより成長しやすい都市を選択して頂くことが重要です。

GmbhとUGはどちらが良い!?

2023.12.15 | Category: ドイツ法人設立



GmbhとUGはどちらが良い!?

ドイツに法人設立をするクライアント様より良く聞かれることがあります。「ドイツで有限会社を設立する際にGmbhとUGはどちらが良いのですか?」と。

そもそもUG(Unternehmergesellschaft)とは?

そもそもUG とは、別名 Mini-GmbH とか、1Euro-GmbHと言われる形態で、ドイツ政府がより多くの起業を促すために作られた新しい形態になります。法的には資本金わずか1ユーロから設立できますが社会的な信用やステータスは、単なる自営業と同じく低い傾向であります。ちなみに町のパン屋さんや肉屋さんなどが普通は自営業者となります。

GmbH(Gesellschaft mit beschränkter Haftung)とは?

直訳すると「有限会社」ですが、その数はドイツに約120万社あります。資本金も必要(25,000ユーロ)であることからその信用は高く、GmbHの代表取締役社長である“Geschäftsführer“ のステータスも高く評価されます。
そのため、ビザがおりやすく、社会的な信用と資本金が、外人局に対しても大きな評価ポイントに
※GmbHの社長となってビザを申請すると、ビザはよりスムーズにおります。

総評




「ドイツで有限会社を設立する際にGmbhとUGはどちらが良いのですか?」という質問に対して当社がお伝えしている回答は「資金に余裕があればGmbh一択です!」とお伝えしております。もちろんUGからスタートして後にGmbHに切り替えを行う形でも問題ありません。ちなみにUG、Gmbhの法人設立プロセスは全く一緒ですので手続き自体が複雑になることはありません。

ドイツでの銀行口座開設のタイミング

2023.10.10 | Category: ドイツ法人設立

ドイツでの銀行口座開設のタイミング

株式会社RT Consultingの今冨です。本日はドイツ法人設立に伴う、銀行口座開設のタイミングについて情報を発信していきます。
法人のお金を管理する上で銀行口座は必ず必要になるものです。日本ではみずほ銀行、三井住友銀行(SMBC)、三菱UFJ銀行(MUFG)が三大銀行として有名ですが、ドイツにもみずほ銀行、三井住友銀行(SMBC)、三菱UFJ銀行(MUFG)の3つのメガバンクの支店がございます。

メガバンクでは銀行口座開設が難しい!?

日本でメガバンクを利用しているのでドイツでも日本のメインバンクを使用したい。このような要望を多くいただくのですが最近の傾向ですとみずほ銀行、三井住友銀行(SMBC)、三菱UFJ銀行(MUFG)のメガバンクはドイツに支店はあるものの、法人設立に伴う銀行口座開設の審査が大変厳しく、メガバンクでの口座開設が断られている状態です。

日本のメガバンク支店で口座開設できない場合の対策

結果としてみずほ銀行、三井住友銀行(SMBC)、三菱UFJ銀行(MUFG)のメガバンクはドイツに支店はあるものの、法人設立時に銀行口座開設がほぼできないような状態になっております。このようなケースで当社が推奨しているのがPenta銀行です。スタートアップ向けの銀行ではありますが、口座開設をスピーディーに対応してくれますので利便性が高い銀行になります。銀行口座の開設の通常流れとしては会社設立前にお客様ご自身は銀行とやりとりを行い、情報や必要書類等をできる範囲で事前に銀行に提出します。(PENTA銀行はすべてオンラインで対応可能)

同時に公証人役場での設立社員総会を行います。その社員総会によっての公証設立証明書が発行され、その設立証明書を銀行に提示しなければなりません。提示したあとにようやく口座が使えるようになります。

ドイツでは法人設立・支店設立どちらが楽なのか?

2023.09.05 | Category: ドイツ法人設立

ベルリン法人設立イメージ図

ドイツでは法人設立・支店設立どちらが楽なのか?

日系企業がドイツに進出する際によく聞かれる質問があります。「ドイツに法人を設立するのと支店を設立するのではどちらが良いですか?」。当社では「法人設立の方が設立後の手続きが圧倒的に楽です」とお伝えしております。そもそも支店はあくまでも本社の一部にしか過ぎなく、独立した法人格ではございません。結果として、ドイツで設立した支店が本社の反射像と扱われ、本社の登記変更がある度に、ドイツの登記変更申請も必要になります。ドイツの支店は前途したように独立した会社ではないため、何かしらの公証手続きがありますと本社代表取締役の署名が必要になります。

つまるところ、二重で手続きを行う必要があり、変更の度に公証手続きが必要になるのでものすごく手間であります。

ドイツで支店を設立する唯一のメリットとは?

日系企業がドイツで支店を設立するメリットはリスクヘッジができる点です。ドイツ法人を設立する場合は必ず「代表取締役」の任命が必須となります。反対に支店の代表は「支店長」になり、支店長は「社長」ではないため、責任や義務、そしてリスク自体が「社長」の役割より少ないことが大きな特徴です。また、税務上の大きなメリットもあります。独立してない法人、つまり日本本社の一部のため、ドイツでの経済活動による欠損金が日本本社側で活用できます(損金算入が可能)。逆に現地法人の場合、欠損金をドイツ現地法人自体の将来&過去の利益と相殺させることでしか活用できません。

ドイツ法人設立費用と支店設立費用は一緒

当社では日系企業がドイツに法人を設立する費用と支店設立費用は同じ費用になります。日系企業がドイツに進出する一番の理由は「企業の成長率を伸長させる」ことにあると思います。ビジネスの成長率を上昇させることを考えるのであれば法人を設立することを強く推奨します。

ドイツ法人設立のスコープ(流れ)

2023.08.07 | Category: ドイツ法人設立

ドイツ国内で法人設立を行う流れについて本日は解説させて頂きます。当社は日系企業を対象にドイツ国内にて法人設立サポートを日々行っており、手続きの流れを詳しく説明してほしいと多くのクライアントより言及されるため、以下に法人設立のスコープを記載しました。①~④までは会社の基本情報となります。ドイツ国内での法人名、登記住所先、定款内容等は日本法人と同様の表記で申請をされる方が一般的です。
多くの方がドイツ(来独)に行かないと法人が設立できないと勘違いをしている方がいますが、弁護士が代理にて手続きを行うことが可能です。円安の影響で渡航費用もばかにならないので費用を削減することが可能です。
ドイツ国内で公証人役場で会社設立手続きを行う手続き等は弁護士でないと手続きが難しい為、法人設立は専門家に依頼をした方が費用も設立速度も格段に高まると思います。世界四大監査法人と呼ばれている「デロイト」「PwC」「KPMG」「EY」の巨大会計事務所グループは依頼する費用が超高額です。当社は巨大会計事務所ではないですが、ドイツ国内における法人設立・税務・会計においては引けを取らない程スピーディーかつ親切丁寧に対応ができますのでお気軽にご相談下さい。
※日本時間、欧州時間どちらの時間帯でも時差なく対応が可能です。また、弁護士は大使館主催の日本語スピーチコンテストで優勝するほどの語学力があり、普通の日本人より日本語が上手です。